東京高等裁判所 昭和32年(う)1307号 判決
被告人 佐野幸夫こと後藤栄吉
〔抄 録〕
I弁護人の控訴趣意第一点について。
原判決が被告人に対し原審相被告人島村進と共謀に係る二個の窃盗の事実を認定しながら、その法律の適用の部において単に刑法第二百三十五条、第六十条、第四十七条、第十条を掲げるにとどまり、両者のうち、いずれをもつて重しとなし、これに併合罪の加重をなしたものであるかを明示しておらないことは論旨の指摘するとおりであるが、かくの如き場合において裁判所が各犯罪の犯情に軽重がないと認めるときは、いずれの犯罪の犯情が重いかを特に判決に明示する必要がないことは最高裁判所の判決(昭和二十四年六月九日第一小法廷言渡)の示すとおりであるところ、ひるがえつて原判示第一の一、二の各事実について調べてみるのにその間に犯情の軽重は認められないから原審がそのいずれをもつて重しとしたかを特に判決に明示しなかつたのは、まさにその間の犯情に軽重はないものと認定したものと解すべきであるから原判決には所論の如き違法は認められない。それゆえ論旨は理由がない。
(中村光 久永 鈴木)